中小企業の品質管理
食品関連や製造関連の中小企業は、その命運を握るといっても過言ではない、製品の品質管理に現場の職長・作業者が四苦八苦しているケースが多いです。
潤沢な資金力で、高性能画像検査装置や3次元測定器・100%ポカよけ治具等を開発段階から導入を進め、製品に対する品質管理の難易度を極限まで低くできる大企業に比べ、
中小企業はノギス・ハイトゲージ・栓ゲージ、ピンゲージやスコヤなど、ごく基本的な測定工具を用いて、簡易的な治具で勝負しなければなりません。

治具にはオリジナルの簡易ポカよけなどで、ヒューマンエラーの防止に努めますが、いかんせん100%ポカよけは難しいので、最終的には人の目による検査となってしまうわけです。
そこで確認漏れが発生すると社外クレームへと繋がってしまうわけで、個別製品の品質管理の難易度で言えば、断然中小企業の方が高いでしょう。
ましてや、中小企業では品質管理部門を設けている会社はごくわずかで(人員的な要因が主)職長や作業者が品質責任者となり、作業と品質管理を両立させなければなりません。
その分、製品の作業工程や作業のキーポイントなどを熟知している作業者の品質管理の方が、品質管理部門のそれよりも無駄がそぎ落とされて効率がいいです。
製造関連の企業に勤めている方なら解ると思うのですが、品質管理部門担当者と現場ラインリーダーなどが打ち合わせをした場合、品質管理部門の人間が結構まとはずれで、要点をついていない話をするので、噛み合ない事も多々あるんですよ。
やはり、現場の工程・作業を熟知していない人間の品質管理は効率が悪いです。図面通りに全て寸法を測定しようとする人なんかもいます。

治具で決まっている箇所は測定しなくていいですし、ポカよけがついている箇所は確認の必要もありません。要は、何らかの外部要因を受けて、寸法にばらつきが出る可能性がある部品箇所を重点的に測定すればいいだけで、
その辺りの要点を品質管理専門部門の人間はなかなか理解できません。(一流の品質管理者は図面・治具からその要点をすぐに洗い出せる)
総合的に見ると、中小企業の職長・作業者による品質管理体制は、人員的な余裕がないという労務管理的要因から派生した結果的な良策で、品質管理の本質的には的を得ています。
ただし、職長・作業者の負担が大きくなるので、その辺りを管理者が上手くフォロー・カバーできるかどうかもポイントとなってはきますが。
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