生産性とは

ある程度の規模の製造業なら数値目標として避けられない生産性。
数値管理が厳しい企業なら、週次や日次で目標生産性を掲げ、
未達であるなら善後策を策定させるといった、現場作業員なら悩ましい運営方法をとっている企業も。
ちなみに生産性とは製造企業なら*労働生産性を生産性とし、
物的生産性(基準を生産量)や付加価値生産性(基準を金額(付加価値))を週間や月間で算出しながら、数値管理をするのが一般的です。
*労働生産性・・・1単位労働力(単位時間あたり投入工数)でどれだけの価値を生めたのかを表す指標。
と、ややこしい話はさておき、何のための生産性なのかという点が重要となってきます。
日本の労働慣行では、全従業員の生産性がプラスなら企業が必ず黒字になる、といった認識があり、
事実そういった考えで経営戦略を策定する製造企業の経営者の方は多いかと。
しかし、現実は全従業員の生産性がプラスでも、企業内外のサプライチェーンにおいて、能力差や個別最適思考、品質保証体制の不備などが要因となり、企業が赤字に陥るケースも往々にして存在します。
そのあたりの詳細はこちらの記事で
<全体最適思考を組織に浸透させる方法>
<製造原価と管理会計>
ここで、経営論や管理会計について長々と書いていくのも当ブログっぽくないので、詳細は上記事を読んでいただければ。
で、結局は何を伝えたいかというと、日本の製造企業では数値目標を作業員に持たせて、
数値管理していかないと、さぼる・手を緩めるといった管理層や経営層の心配というか危惧というか。
人間は厳しく管理していかないとさぼるといった、ある意味性悪説?に基づいた考えによる危惧を払拭するために、数値管理を行っている企業も結構多い。
これは非常に情けない話なんです...。
企業の財務会計で、製造原価の把握が必要となる面もあり、製造原価算定のための生産性の把握という名目は確かに必要となってきます。
しかし、経営管理における管理会計は意思決定に使用する会計です。
必ずしも性悪説に基づいて、現場を数値目標で雁字搦めにする必要などない。
本来の経営管理においては、作業員ひとりひとりの質を高め、経営方針・事業方針を十分考慮した業務内容を自ら構築できるような従業員を育成・指導していき、
その質の高さによって真の意味での企業の労働生産性を高める事こそが、製造企業を経営する者が目指すべき形であり、運営方法です。
はなから従業員を信頼せず、数値目標だけ達成してればそれでいい、なんてアプローチで運営していれば、
労働生産性が頭打ちになる事なんか目に見えています。
日本の多くの製造企業は今、従業員の質を本当の意味で高めていく事から逃げ、株主利益や決算報告の数字の見栄えを良くする事だけを念頭に、短期的な利益を追い過ぎです。
じっくり腰を据えて人を育てていく事に長けていたはずの日本。
その素晴らしい日本の特性を放棄して、目先の利益を追う事に集中していく風潮を断ち切る事が重要なのでは。
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